アルファ・インダストリーズ
正式な名称は長い名前なので、短縮して以下は「アルファ」。
一般的にもアルファで通っているはずだ。
アルファはアヴィレックスの次の世代。ナイロン系のジャケットで名前をはせたブランドと言えると思う。
アヴィレックスが、レザーのフライトジャケットA-2、B-3などで有名になった。のに対して、アルファと言えばやっぱり、超有名フライトジャケットMA-1と、極寒冷地仕様のN-3Bと言える。
前にも書いたが、80年代には、トム・クルーズ主演映画「トップガン」の影響で、日本でも一大フライトジャケットブームがおきた。「トップガン」はジェット戦闘機乗りのエリートを育てる学校で、そこに集まってきた選りすぐりのパイロット達が繰り広げるドラマなのだが、ジェット戦闘機の派手な映像と、パイロットの私生活や葛藤が描かれる。平たく言っちゃうと「青春映画」である。
それはさておき、MA-1を着たトム・クルーズは本当にかっこよかった。
MA-1は、丈が短く、裾もジャージでやや絞り込まれているので、前屈みになると背中が出ちゃうようなジャケットだが、その分、冬だけでなく、春先なんかでも、外に出る時、ちょっと気軽に上に着られるジャケットで、当時は、TシャツにMA-1なんていうファッションもよく見かけられた。ハンドウォーマーポケットだけのシンプルな構造なのもまたいい。
ちなみにMA-1は普通裏側の色が「オレンジ色」になっている。これは「セーフティ・オレンジ」という蛍光っぽい派手なオレンジ色だ。これはパイロットが、墜落などで地上にいる時、仲間に自分の存在を知らせるために視認性の高い裏地色を採用したものだ。当然ファスナーはリバーシブル使用になっている。
ちなみに私が持っていたのは「スコービル」のファスナーで持ち手のレールの上がつながっている仕様で、持ち手をクルリと回して利用するタイプだったなー。(写真で紹介されているのは、両面に持ち手が付いているタイプのようです。)
N3-Bの方は、寒冷地仕様のたっぷりとした余裕のあるジャケットで、裾も長く、ファー付きでとにかく暖かい。結構な極寒の冬も、コレ一着あるとなんとかしのげるジャケットである。
私も、アルファ社のこの二つのジャケットを所有していたことがある。どちらもしっかりした縫製で、かなり長きにわたってつきあった。そんな愛着もあり、「アルファは本当に信頼できるメーカー」という印象が私にはある。
さて、そんなアルファ・インダストリーズ社には米軍納入メーカーとしての「いわく」がある。
米軍には複数のメーカーが製品を納入しており、そしてそれぞれのメーカーが、デッドストック(納入数量減などで米軍に納入できなくなった商品)になった製品を一般市場に流して、利益を出していく体質がある。
米軍納入品にはタグに横一本線を入れるという決まりがあり、各社が、このルールを守って納入するのだが、アルファは、一般市場向けの商品に対して、「軍納入と、一般用の区別をはっきりつける必要がある。」と(同じ商品だが)一般市場向けのラインを3本線に変更した。
ところが、一般市場では、同じ「軍向けデッドストック品」という扱いの商品の中で、それが何を意味するのか分からないまま「3本線」の商品を買いあさる傾向が発生した(他メーカー品は軍仕様と同じ一本線)。
理由は単純で「製品の質が3本線のものが極めて高かったから。」だった。
アルファ・インダストリー社のロゴを見て欲しい。アメリカ/アメリカ軍の象徴である。星のマークの後ろに引いてあるのは3本の横線。
3本の横線でその品質を証明したアルファ社は、そのロゴに3本線をあしらって、一般市場に大きく躍り出たわけだ。
多くのミリタリー系アパレル企業がそうであるように、アルファインダストリーも数多いラインナップで、一般市場を席巻している。
ミリタリーテイストあふれる商品から、一般アパレル向けに、相当アレンジした商品まで、本当に幅広い。
アルファ・インダストリー社は現在日本の「エドウィン」と提携関係にあるようで、日本国内で「アルファ」の名前で販売されている商品には、エドウィン企画、作成のアパレルも結構あるようだ。
「ミリタリー本物」、「オリジナルの無骨さ」を愛する人にとっては、やや物足りないものも多い。
しかし、考えによってはそういうものを求めるのは少数派なので、ミリタリーの雰囲気を一般に伝える役割としては、そういった国内企画というものも悪くないのかも知れない。
しかし、一番上写真のMA-1のペンポケットのファスナーに付いた「変な赤いタグ」。私が購入した「ECWCSジャケット」のファスナーにも、ゴテゴテとロゴ付きのタグがぶら下がっていた。ほとんどロゴすら存在しなかった80年代のジャケットとは大違いの今日のアルファ。
正直言って「うざい」くらい、懲りまくったデザインがあるのも事実。アルファの「本物志向」「ミリタリーの無骨さ」を愛していた人にとっては残念な限りとも言える。
個人的には、愛すべき無骨で、強靱な「アメリカ」を連想させる「アルファ」。
私には、日本的な発想に迎合した、アパレルよりも、オリジナルのフライトジャケットの魅力を伝えてくれるメーカーであって欲しいと思っている。
一般的にもアルファで通っているはずだ。
アルファはアヴィレックスの次の世代。ナイロン系のジャケットで名前をはせたブランドと言えると思う。
アヴィレックスが、レザーのフライトジャケットA-2、B-3などで有名になった。のに対して、アルファと言えばやっぱり、超有名フライトジャケットMA-1と、極寒冷地仕様のN-3Bと言える。
アルファといったらやっぱりコレ | 寒冷地ならこちらのN3B |
前にも書いたが、80年代には、トム・クルーズ主演映画「トップガン」の影響で、日本でも一大フライトジャケットブームがおきた。「トップガン」はジェット戦闘機乗りのエリートを育てる学校で、そこに集まってきた選りすぐりのパイロット達が繰り広げるドラマなのだが、ジェット戦闘機の派手な映像と、パイロットの私生活や葛藤が描かれる。平たく言っちゃうと「青春映画」である。
それはさておき、MA-1を着たトム・クルーズは本当にかっこよかった。
MA-1は、丈が短く、裾もジャージでやや絞り込まれているので、前屈みになると背中が出ちゃうようなジャケットだが、その分、冬だけでなく、春先なんかでも、外に出る時、ちょっと気軽に上に着られるジャケットで、当時は、TシャツにMA-1なんていうファッションもよく見かけられた。ハンドウォーマーポケットだけのシンプルな構造なのもまたいい。
ちなみにMA-1は普通裏側の色が「オレンジ色」になっている。これは「セーフティ・オレンジ」という蛍光っぽい派手なオレンジ色だ。これはパイロットが、墜落などで地上にいる時、仲間に自分の存在を知らせるために視認性の高い裏地色を採用したものだ。当然ファスナーはリバーシブル使用になっている。
ちなみに私が持っていたのは「スコービル」のファスナーで持ち手のレールの上がつながっている仕様で、持ち手をクルリと回して利用するタイプだったなー。(写真で紹介されているのは、両面に持ち手が付いているタイプのようです。)
N3-Bの方は、寒冷地仕様のたっぷりとした余裕のあるジャケットで、裾も長く、ファー付きでとにかく暖かい。結構な極寒の冬も、コレ一着あるとなんとかしのげるジャケットである。
私も、アルファ社のこの二つのジャケットを所有していたことがある。どちらもしっかりした縫製で、かなり長きにわたってつきあった。そんな愛着もあり、「アルファは本当に信頼できるメーカー」という印象が私にはある。
さて、そんなアルファ・インダストリーズ社には米軍納入メーカーとしての「いわく」がある。
米軍には複数のメーカーが製品を納入しており、そしてそれぞれのメーカーが、デッドストック(納入数量減などで米軍に納入できなくなった商品)になった製品を一般市場に流して、利益を出していく体質がある。
米軍納入品にはタグに横一本線を入れるという決まりがあり、各社が、このルールを守って納入するのだが、アルファは、一般市場向けの商品に対して、「軍納入と、一般用の区別をはっきりつける必要がある。」と(同じ商品だが)一般市場向けのラインを3本線に変更した。
ところが、一般市場では、同じ「軍向けデッドストック品」という扱いの商品の中で、それが何を意味するのか分からないまま「3本線」の商品を買いあさる傾向が発生した(他メーカー品は軍仕様と同じ一本線)。
理由は単純で「製品の質が3本線のものが極めて高かったから。」だった。
アルファ・インダストリー社のロゴを見て欲しい。アメリカ/アメリカ軍の象徴である。星のマークの後ろに引いてあるのは3本の横線。
3本の横線でその品質を証明したアルファ社は、そのロゴに3本線をあしらって、一般市場に大きく躍り出たわけだ。
多くのミリタリー系アパレル企業がそうであるように、アルファインダストリーも数多いラインナップで、一般市場を席巻している。
こちらはカーゴパンツ「タイガーストライプ」 一般アパレルに転じてこういう色を嫌う傾向にあるアルファにしては珍しい迷彩選択 | 気軽にはけそうな、ストレッチ生地のカーゴパンツ。一般アパレルとの融合により生まれた商品と言える。カーゴポケットは、通常の上のほか、ジップタイプに正面側からも使える2WAY |
ミリタリーテイストあふれる商品から、一般アパレル向けに、相当アレンジした商品まで、本当に幅広い。
昔っからパイロット商品を作ってきたアルファの真骨頂「ヘルメットバッグ」陸軍ものとは全く違うデザインで、これまた、かっこいい。 | 女子なら一押しはこちらのM51。いわゆるモッズコートだが、その辺のアパレルメーカーが作る「ミリタリー風」とは違うものを感じられるはず。長くつきあえるコートだと思う。 |
アルファ・インダストリー社は現在日本の「エドウィン」と提携関係にあるようで、日本国内で「アルファ」の名前で販売されている商品には、エドウィン企画、作成のアパレルも結構あるようだ。
「ミリタリー本物」、「オリジナルの無骨さ」を愛する人にとっては、やや物足りないものも多い。
しかし、考えによってはそういうものを求めるのは少数派なので、ミリタリーの雰囲気を一般に伝える役割としては、そういった国内企画というものも悪くないのかも知れない。
しかし、一番上写真のMA-1のペンポケットのファスナーに付いた「変な赤いタグ」。私が購入した「ECWCSジャケット」のファスナーにも、ゴテゴテとロゴ付きのタグがぶら下がっていた。ほとんどロゴすら存在しなかった80年代のジャケットとは大違いの今日のアルファ。
正直言って「うざい」くらい、懲りまくったデザインがあるのも事実。アルファの「本物志向」「ミリタリーの無骨さ」を愛していた人にとっては残念な限りとも言える。
個人的には、愛すべき無骨で、強靱な「アメリカ」を連想させる「アルファ」。
私には、日本的な発想に迎合した、アパレルよりも、オリジナルのフライトジャケットの魅力を伝えてくれるメーカーであって欲しいと思っている。
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tag : ジャケットアルファ・インダストリーミリタリー
アヴィレックス
新しい企画として、ミリタリ系のブランドを紹介してみようと思う。
一回目はアヴィレックス
アヴィレックス社と言えば、アルファ社とならぶ、軍用フライトジャケットの納入メーカー。
80年代、映画「トップガン」などの影響で、日本でも空前の「フライトジャケット・ブーム」が起こったが、私も例に漏れず、無骨で、良質な素材、機能美重視のフライトジャケットが大好きになり、買いあさった。
当時は若くてあまりお金も持っていなかったのでアヴィレックスのフライトジャケットはとてもじゃないけど変えなかった。
MA1やN3Bなどナイロン系のフライトジャケットで名前を売ったアルファに対して、アヴィレックスと言えばやっぱりレザー製品の、B-3、A-2といったレザー製品というイメージがある。
そういった製品群の中でも、アヴィレックス製品は極めて高額、桁違いの商品で、その素材からステッチまで徹底的にこだわった製品を作っているという印象だ。
80年代以降に起こったフライトジャケットブームも、後半には粗悪なナイロン生地、合皮、中国製の粗悪コピージッパーなどを採用した超廉価製品の登場と共に、だんだん廃れていった。
当初は軍用スペックの「壊れない」「無骨」といったハードイメージな商品から、アパレル界の要求によるものなのか、カラーラインナップが増やされたり、一般的には無駄とも言える強靱さより、肌触りや、コストパフォーマンスが要求される形に変化していったのもブームが廃れていった理由かも知れない。
当時、(ジャケットは高くて買えなかったが、)フライトジャケットの研究本まで購入して研究していた私にとってはそんな、粗悪なコピー品はとても許せるものではなく友達が着ているカラフルなMA1のナイロン生地を触らせてもらって、そのヘニャヘニャぶりに悲しくなったものである。
そんな粗悪品とは無縁の「アヴィレックス」。前身は「エアロ・レザー社」。
古い戦闘機にはコックピットの予圧装置(飛行機内の気圧を一定に保つ装置)や、ヒーターなどが無かったために、パイロットは低気圧や寒冷状態にさらされる。パイロットは、フライトジャケットなどのウェア類に頼るしかなかった。そのため軍では詳細に彼らのウェアの基準を決めてそれに見合った服を納入させた。いわゆる「MILスペック」である。皮のなめし方から、詳細のデザイン/機能に至るまで詳細に決められたMILスペックをクリアしたフライトジャケットは、もちろん多くのパイロット達から愛され、共に戦場を駆け抜けてきた戦友のような存在だったのかも知れない。
その後、一般アパレル市場にマーケットを広げていき「飛行機乗り」という意味の「アヴィエーター」、「王様」と言う意味の「レックス」を組み合わせて「アヴィレックス」という会社が誕生した。
アヴィレックスは、「一般アパレル商品」と平行して、「ミリタリー風商品」、「フライトジャケット」なども作っているようだが、長年のこだわりか「古いレザーフライトジャケットのコピー品」も数多く作っているようだ。
アヴィレックスのB-3、A-2は普通に「高額だなー」というイメージで、普通に国内のAVIREXネットショップにも並んでいるが、「オールドB-3のコピー」とか言うとこういう値段ではとても買えない。
昔のカタログでは30万円台~50万円台なんていう価格が踊っていたが、最近ではそういうものも見なくなった。たぶんそういう時代ではないのだろう。
オールドアメリカン、フライトジャケット、高品質レザー、ミリタリー
アヴィレックスには無骨なオールドミリタリーのテイストがあふれている。
一回目はアヴィレックス
アヴィレックス社と言えば、アルファ社とならぶ、軍用フライトジャケットの納入メーカー。
80年代、映画「トップガン」などの影響で、日本でも空前の「フライトジャケット・ブーム」が起こったが、私も例に漏れず、無骨で、良質な素材、機能美重視のフライトジャケットが大好きになり、買いあさった。
当時は若くてあまりお金も持っていなかったのでアヴィレックスのフライトジャケットはとてもじゃないけど変えなかった。
MA1やN3Bなどナイロン系のフライトジャケットで名前を売ったアルファに対して、アヴィレックスと言えばやっぱりレザー製品の、B-3、A-2といったレザー製品というイメージがある。
そういった製品群の中でも、アヴィレックス製品は極めて高額、桁違いの商品で、その素材からステッチまで徹底的にこだわった製品を作っているという印象だ。
80年代以降に起こったフライトジャケットブームも、後半には粗悪なナイロン生地、合皮、中国製の粗悪コピージッパーなどを採用した超廉価製品の登場と共に、だんだん廃れていった。
当初は軍用スペックの「壊れない」「無骨」といったハードイメージな商品から、アパレル界の要求によるものなのか、カラーラインナップが増やされたり、一般的には無駄とも言える強靱さより、肌触りや、コストパフォーマンスが要求される形に変化していったのもブームが廃れていった理由かも知れない。
当時、(ジャケットは高くて買えなかったが、)フライトジャケットの研究本まで購入して研究していた私にとってはそんな、粗悪なコピー品はとても許せるものではなく友達が着ているカラフルなMA1のナイロン生地を触らせてもらって、そのヘニャヘニャぶりに悲しくなったものである。
そんな粗悪品とは無縁の「アヴィレックス」。前身は「エアロ・レザー社」。
古い戦闘機にはコックピットの予圧装置(飛行機内の気圧を一定に保つ装置)や、ヒーターなどが無かったために、パイロットは低気圧や寒冷状態にさらされる。パイロットは、フライトジャケットなどのウェア類に頼るしかなかった。そのため軍では詳細に彼らのウェアの基準を決めてそれに見合った服を納入させた。いわゆる「MILスペック」である。皮のなめし方から、詳細のデザイン/機能に至るまで詳細に決められたMILスペックをクリアしたフライトジャケットは、もちろん多くのパイロット達から愛され、共に戦場を駆け抜けてきた戦友のような存在だったのかも知れない。
その後、一般アパレル市場にマーケットを広げていき「飛行機乗り」という意味の「アヴィエーター」、「王様」と言う意味の「レックス」を組み合わせて「アヴィレックス」という会社が誕生した。
アヴィレックスは、「一般アパレル商品」と平行して、「ミリタリー風商品」、「フライトジャケット」なども作っているようだが、長年のこだわりか「古いレザーフライトジャケットのコピー品」も数多く作っているようだ。
アヴィレックスのB-3、A-2は普通に「高額だなー」というイメージで、普通に国内のAVIREXネットショップにも並んでいるが、「オールドB-3のコピー」とか言うとこういう値段ではとても買えない。
昔のカタログでは30万円台~50万円台なんていう価格が踊っていたが、最近ではそういうものも見なくなった。たぶんそういう時代ではないのだろう。
オールドアメリカン、フライトジャケット、高品質レザー、ミリタリー
アヴィレックスには無骨なオールドミリタリーのテイストがあふれている。